USCPA(米国公認会計士)を目指そうと調べ始めると、「150単位が必要」「州によって条件が違う」といった情報が出てきて、自分が受験できるのかどうか分からなくなりがちです。

この記事では、AICPA(米国公認会計士協会)とNASBA(全米州会計委員会協会)の公式情報をもとに、USCPAの受験資格の考え方と、出願する州の選び方を整理します。

<この記事の対象者>
・USCPAの受験資格(学歴・単位要件)を知りたい方
・日本の大学を卒業していて、自分が受験できるか確認したい方
・どの州に出願すればよいか迷っている方

結論:受験資格は「出願する州」が決めます

USCPAの試験内容は全米共通ですが、受験資格や免許の要件は、出願する州(Jurisdiction)の会計委員会が決めています。AICPAの公式FAQでも、50州と5つの準州(合計55のJurisdiction)にそれぞれBoard of Accountancyがあり、受験資格と免許要件はそのBoardが定めると説明されています。

つまり「USCPAの受験資格は○○です」と一律には言えず、まずどの州に出願するかを決めることが出発点になります。出願は、NASBAが運営するオンラインの窓口を通じて行います。

学歴要件の基本:120単位と150単位の違い

学歴要件で必ず出てくるのが「120単位」と「150単位」です。AICPAは、多くの受験者は120単位(4年制大学卒業相当)で各セクションを受験できるとしています。一方、免許の取得には、従来は150単位を求める道筋が一般的でした。いずれも、実際の条件は州(Jurisdiction)によって異なります。

ここで大切なのは、「試験に出願できる条件」と「ライセンスを取得できる条件」は別物だということです。150単位が関係するのは主に免許の取得段階(従来の道筋)で、受験の段階では120単位で足りる場合が多い、と理解しておくと整理しやすくなります。ただし、これは州によって異なるため、出願予定の州の条件を必ず確認してください。

2025年に追加された新しい取得ルート

2025年に、NASBAとAICPAはモデル法(Uniform Accountancy Act)を更新し、免許取得の道筋を整理しました。次の3つが示されています。

CPA免許取得の3つのモデルルートの図解。大学院修了+実務1年、学士+30単位(合計150単位)+実務1年、学士(120単位)+実務2年

従来の「学士+30単位(合計150単位)」に加え、「学士(会計専攻)+実務経験2年」という、150単位を必要としないルートが新たに示されました。ただしこれはあくまでモデル法であり、各州が法律や規則として採用して初めて有効になります。どの州が採用済みかは、NASBAのページやCPAMobilityのサイトで確認できます。

日本の大学を卒業した人はどう評価される?

日本を含む米国外の大学を卒業した場合は、学歴を米国の単位(semester hours)に換算する「国際学歴評価」を受けるのが基本です。評価機関としては、NASBA International Evaluation Services(NIES)などがあります。

NASBAによると、NIESは50を超える管轄の委員会向けに評価を行っています。どの評価機関が使えるかは州ごとに決まっているため、出願する州が指定する機関を選ぶ必要があります。

また、多くの州では「会計の専攻またはそれに相当する会計科目」を求めます。たとえばワシントン州では、accounting concentrationとして、会計科目24セメスター単位と経営学系科目24セメスター単位(または相当分)が示されています。会計系の科目が少ない文系・理系出身の方は、評価結果によっては不足分を追加で履修する必要が出てくる場合があります。

出願州の選び方:日本在住者が確認したいポイント

日本から受験する場合、確認しておきたいのは「米国居住やSSN(社会保障番号)が必要か」と「自分の学歴がその州の条件に合うか」です。NASBAの各州ページから確認できる例を挙げます。

項目 グアム ワシントン州
SSN 不要 不要
居住要件 なし なし
米国外学歴の評価 NIES・FACS・ERESのいずれか NIES
学歴要件の例 会計専攻の学位、または経営学系の学位+会計24単位など、3つの選択肢 会計専攻の学士、大学院、または学士+30単位の3つの選択肢

上の内容はNASBAの各州ページに基づくものです。大学の認定(AACSB等)に関する条件など、表に載せきれない細かな条件もあり、条件や費用は変更されることがあります。出願前に必ず最新の公式情報を確認してください。

州を選ぶときの判断軸は、大きく次の3つです。

  • 学歴要件:自分の学歴・単位がその州の条件に合うか(会計・経営学系の単位数など)
  • 手続き面:SSNや居住要件の有無、指定される学歴評価機関
  • その後の免許要件:ライセンスまで取得したい場合の単位数・実務経験の条件

受験までの基本的な流れ

  1. 出願する州(Jurisdiction)を決める
  2. 指定された評価機関で、学歴(単位)の国際評価を受ける
  3. NASBAの窓口から、州に対して受験の出願をする
  4. 出願が認められたら、科目ごとに試験へ進む

学習の進め方や英語力については、米国公認会計士って独学でなれるの?【USCPA】や英語力ゼロでも大丈夫?USCPA合格に必要な英語力で解説しています。

よくある質問

Q. 出願する州によって、試験の内容は変わりますか?

A. 変わりません。AICPAも、CPA Examはすべての受験者に共通で、その他の要件がJurisdictionごとに異なると説明しています。

Q. 受験資格を満たす前に、勉強を始めてもよいですか?

A. 学習自体は、出願の条件を満たす前から始められます。ただし、学歴評価には時間がかかる場合があるため、勉強と並行して早めに評価の準備を進めておくと、後で慌てずに済みます。

まとめ:まず「州」と「単位」を確認しましょう

USCPAの受験資格は、試験内容とは違い、出願する州の会計委員会が決めています。まずは自分の学歴を米国の単位に換算し、条件に合う州を絞り込むことが、最初の一歩になります。

未経験から準備を始める方は、USCPA未経験の人が転職前に準備しておきたいこともあわせて参考にしてください。

あわせて読みたい

出願州(Jurisdiction)の選び方と、州ごとに確認したい5つのポイントを整理しています。

【出願する州の選び方】最終的な条件は「委員会」で確認(コルクボードの地図にピンを刺す手元)
USCPAの出願州(Jurisdiction)の選び方|州ごとに違う条件の確認ポイントUSCPAの試験は全米共通で行われますが、「誰が受験できるか」「どんな手続きが必要か」を決めるのは、アメリカの各州(Jurisdicti...

海外の大学卒業者に必要な学歴評価の流れと、準備しておきたい書類を整理しています。

【学歴評価の受け方】評価機関と必要書類を確認(書類を封筒に入れる手元)
USCPAの学歴評価(Credential Evaluation)の受け方|海外の大学卒業者が出願前に確認すること日本の大学を卒業した方がUSCPAに出願するときは、アメリカの州の会計士委員会に、海外で取得した学歴を評価してもらう手続き(学歴評価、C...

単位が足りないときに、試験を受ける条件とライセンスの条件を分けて確認する方法を整理しています。

【単位が足りないとき】受験とライセンスの条件を分けて確認(1ピースだけ欠けたジグソーパズルと手)
USCPAの単位が足りないときは?受験資格とライセンス要件を分けて確認するUSCPAを目指す方の多くが気になるのが、「大学の単位が足りない場合どうするか」です。ここで大事なのは、試験を受けるための条件と、ライセ...

出願から受験予約までの手順(州への出願→NTS→予約→受験)と、日本から受験する場合の追加手順を整理しています。

【出願から受験まで】州への出願→NTS→予約の順(廊下に並ぶ4つのドアと人物)
USCPA出願の手順|NTS取得から受験予約までの流れUSCPAの出願は、「州の会計士委員会に出願する」「NTS(Notice to Schedule:受験許可通知)を受け取る」「試験会場を...

記事全体を順番に読み進めたい方は、USCPA完全攻略マップをご覧ください。